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【久保建英】メガクラブでのレギュラー奪取へ現実的選択をとった解とその理由

【久保建英】メガクラブでのレギュラー奪取へ現実的選択をとった解とその理由

 「徹底した逆算思考」が答えの全てではないか。少なくとも『現在』を積み上げだけの結論とは思い難い。野球やサッカーの展開には筋書きのないドラマがある。それは研鑽を積んだ各々が互いに違うベクトルへ歩みを進めた結果生じたねじれが成すものだと解することができる。しかし、ロジカルに事を進めることができる場合、ピッチ上でも人生でも徹底したリアリズムが刻まれる。

本移籍に伴う契約まとめ


移籍先:レアル・マドリード(スペイン)
移籍形態:完全移籍
契約期間:5年
年俸:約2.4億円と見られる
初年度:レアルのBチーム・カスティージャに所属
2年目:トップチーム昇格

直前までバルセロナとの蜜月関係にあったことは確かだが、数週間前に久保サイドのエージェントが変更。
久保サイドがクラブへ要求したことは、
・年100万ユーロ
・19歳になったらトップ昇格
だったが、バルセロナがこの要求を拒否。レアル・マドリードは、バルセロナが断った条件でオファーを出し、契約に至った。
※その他、ビッグクラブもオファーを出したと見られるが、上記が最低限の要求であり、最速でプロセスをつめてきたレアルに軍配が上がったようだ。

ノーミルク佐藤としての私的見解

 衝撃も不思議もなく、普通のことが普通に行われただけだと感じている。我々の日常レベルに落とし込んでみても、高校受験や大学受験、就職の際「地元に残ったら…?」との周りの発言がある。レベルを上げたいと感じる人間がより高いレベルを求めたり、自分の適正レベル水準を求めることに何ら不思議はない。例外はさておき、逆に高いレベルを持ちながら、地元に居残る選択をする方が異例だ。

 「MILKサッカーアカデミー」を通して、「(久保建英が)国内でやることはもうない、早く海外移籍したほうがいい」と常々発言をしてきた。歯に衣着せず発してきたつもりだが、反する思いを持つ人も少なくない。
・まだ早いんじゃないか
・せめて高校を卒業してから
・今季はこれだけチームが好調なのに出ていく気なのか
・東京五輪終わってからでも…
・通用するわけがない
など、多くのコメントを目にしてきたが、挑戦したことのない人間の発言ではないかと感じてしまう。
 他者の人生プロセスを人のエゴで止める理由はどこにもない。さらに、彼のプレービジョンや伸びていく能力値に対して共感し、コーチングできる人間は、国内に一体何人存在するのだろうか。ボールの置所や飛び出していく勘所、プレーモデルを伝えられる人間はおらず、例外は「コバトレ」の木場克己氏のフィジカル面か。
 彼が成長を求め続ける限り、高い挑戦心を持ち続ける限り、高みは目指すだろうし、そもそも18歳で移籍解禁となる段階でスペインに戻ることは織り込み済みのプランだったのだと思う。

台風の目

 2019年6月14日、日本だけでなく世界で「久保建英、レアル・マドリード加入決定!」のニュースが報じられた。契約期間は5年、年俸は2.4億円とみられる模様。彼はマンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマン、バイエルン・ミュンヘン、バルセロナなど、ヨーロッパを代表するメガクラブたちからのラブコールを受けながら、最終的にレアル・マドリードを選択した。
 誕生日を迎えた6月4日までは「古巣・バルセロナ」への復帰が再優先事項と目されていた。昨シーズンオフ段階の情報を開示すれば、
・バルセロナ完全移籍→Bチーム帯同
・バルセロナ完全移籍→アラベス(orエイバル)レンタル移籍
がプランとして考えられていた。
 2018年、啖呵を切ってFC東京から横浜F・マリノスへレンタル移籍を経験するも、チーム事情から出場数を積み重ねることは出来なかった。しかし2019シーズンで飛躍を遂げ、国内ナンバーワンプレイヤーの一人にまで成長。一世代上だけでなく、日本代表入りまで果たした。バルセロナとの関係も良好だったが、エージェント変更と久保サイドの成長プランに差異が生じた。結果として元所属先のライバルクラブであるレアル・マドリードへ加入することとなり、現地でも騒がれているようだが、あまりにも契約までの流れがスムーズだったことを踏まえれば、「バルセロナが仮に破談になった場合」のプランBやプランCが同時並行的に進んでいた可能性が高い。そしておそらく、この先に関しても一つのプロジェクトして進行し続けている可能性がある。久保サイドの中心地は至って冷静、周りが情報の錯綜に伴う狂想曲にほだされた可能性は低くない。

今後のプラン

 バルセロナに比べ、現在のレアル・マドリードの方がカンテラとの連携力は高くなっている。また、フィニッシャーやハードワーカー、ドリブラー、パサーといったプロフェッショナルを量産できている強さがあるものの、一連の攻撃の流れを構築する「チャンスメーカー型ジェネラリスト」はチームに欠いており、クリスティアーノ・ロナウドという史上屈指のアイコンを失った2018-2019シーズンの成績は低迷した。2019-2020シーズンはFWルカ・ヨビッチ、FWエデン・アザール、MFクリスティアン・エリクセン、MFポール・ポグバらを獲得するレアル・マドリードだが、ポグバからエリクセン、エリクセンからアザールといった屈指のタレントの隙間をつなぐ選手は存在しない。彼らの独力突破、得点力をより花開かせるタレントとしてタケフサ・クボの名がヨーロッパの中に浸透していくのも、そう遠くない未来の話になるのではないだろうか。
 

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