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 第98回全国高校サッカー選手権が遂に開幕、47の都道府県の予選を勝ち上がった代表校が1月13日の決勝戦を目指す高校生活最後の大会。昭和から平成を経て令和の時代へ、多くのプロサッカー選手や関係者、世界へ羽ばたくプレイヤーも排出した、日本サッカー史上最も歴史と伝統のある大会の一つと言っても過言ではない。高校年代のプレミアリーグなどの制度整備がなされ、リーグ文化やピラミット型が浸透し、チームレベルが明確になってきた近年だが、一発勝負のトーナメント大会は趣が異なる。下克上や大会で勢いづいた調子を維持して勝ち上がるようなチームも存在する。近年で言えば一昨年の上田西高校(長野県)3年前の東海大仰星(大阪府)が好例だ。年々レベルアップが窺える高校年代の部活出身組の最後の大会を展望していきたい。

ライター:Y.K 
編集:ノーミルク佐藤

Next 日本代表は!パリ世代の来季内定Jリーガーたち

 01ジャパン(+02ジャパンの一部/2020年度卒)の高校生でプロ入りが決定している選手は23人で、今大会に出場するのは15人(12/30段階)だ。この大会に出場し、数年後にJリーグでトップクラスに成長する者、日本代表に選出される者、海外へ移籍して活躍する者など、様々なスタイルが存在する。現・日本代表クラスで言えば、FW鈴木武蔵(桐生第一高卒/北海道コンサドーレ札幌)やCB植田直通(大津高/サークル・ブルージュ)などがおり、東京五輪世代ではDF杉岡大暉(市立船橋高/湘南ベルマーレ)やFW小川航基(桐光学園高/水戸ホーリーホック&ジュビロ磐田)などが大会前から注目を浴びた。選手権を楽しむ一つのポイントとして、Jクラブ内定選手を覚えておき、まずは彼らの動きに焦点を合わせても損は絶対ない。

出場校からJリーグ入りが決まっている選手は下記の通り。

▷青森山田
MF武田英寿/→浦和レッズ
MF古宿理久/→横浜FC

▷昌平
MF鎌田大夢/→福島ユナイテッドFC

▷市立船橋
SB畑大雅/→湘南ベルマーレ
FW鈴木唯人/→清水エスパルス

▷帝京長岡
DF吉田晴稀/→愛媛FC
MF谷内田哲平/→京都サンガFC
FW晴山岬/→町田ゼルビアFC

▷静岡学園
MF松村優太/→鹿島アントラーズ

▷四日市中央工業高校
MF田口裕也/→ガイナーレ鳥取

▷興國
MF高安孝幸/→ツエーゲン金沢
MF田路燿介/→ツエーゲン金沢

▷神戸弘陵
DF田平起也/→セレッソ大阪

▷米子北
DF高橋祐翔/→大分トリニータ

▷立正大淞南
MF山田真夏斗/→松本山雅FC

※尚志高のFW染野唯月(鹿島アントラーズ内定)は、11月下旬に腰椎分離症で全治3ヶ月の診断を受け、自らの将来を考えての登録メンバー外となった。

青森山田1強/強豪の順当/新興勢力の革命か?

 チームレベルを見る上で最たる指針は各チームの所属リーグのカテゴリーだ。2種年代の最高峰が高円宮杯プレミアリーグ(青森山田、尚志、市立船橋が所属)、2層目に各地域のトップリーグであるプリンスリーグ。そして3層目に位置する各都道府県リーグが大まかな分け方として存在する。
 近年の高校サッカー界を牽引してきた青森山田はズバ抜けたチームレベルにある。今季も、高円宮U18プレミアリーグEASTを制し、続くチャンピオンシップでWESTを制した名古屋グランパスU18と日本一を懸けた試合は、接戦の末に3−2で勝利して二度目の日本一を達成した。この流れは3年前のGK廣末陸(FC町田ゼルビア)やMF高橋壱晟(ジェフユナイテッド千葉)を擁した世代と似ている。

春先からプレミアリーグEASTで首位街道を走っていたが、インターハイで北越高校にPK負けを喫して以降歯車が狂い、リーグ戦再開後も勝ち点を積めない時期が続いた。選手権の青森県予選でもPK戦の末に勝ち上がり近年稀に見る苦労を強いられた。だが、難局を乗り越えてレベルアップしたチームはこれ以降、力が復活して勝負強さが戻ってきた。狙うは国見高校以来の選手権2連覇だ。
 対抗馬候補は市立船橋か。昨年度を以って朝岡隆蔵前監督(現ジェフユナイテッド千葉U18監督)が退き、新たに波多秀吾氏が就任。上手くチーム作りが進まず、所属するプレミアリーグでは残留争いを強いられ、夏のインターハイ出場も逃した。浮上のきっかけになったのはプレミアリーグEAST14節の尚志高戦だった。3−0と圧勝かつ完封勝利を収めたことで、自信や調子が上向いた。県内最大のライバルチームである流通経済大柏高にリーグ戦で2年半ぶりの勝利を収め、その後選手権県決勝でも競り勝ち、3年ぶりの出場を果たした。DF杉岡大暉、DF原輝綺世代以降チームとしての成績は振るわずも、選手個人としてはJリーグ入りを果たす選手を毎年輩出しており、今年は畑大雅や鈴木唯人がその最たる例だ。

 また、大会を盛り上げるダークホース候補に國學院久我山を挙げたい。國學院久我山は4年前に準優勝して以来の出場となる。現代的なポゼッションサッカーから個々のテクニックを活かす攻撃的サッカーを志向するチーム。先発メンバーの大半は去年から主力として出場していて今年はその集大成とも言える。攻撃のキーマンのサイドハーフのMF戸坂隼人は切れ味あるドリブルで右サイドを制圧しチャンスメーカーの役割を担う。ゴールゲッターのFW山本航生はキープ力に長けていて得点感覚に優れている。中盤の組み立ては洗礼された作りでインサイドハーフに位置するMF大窟陽平、MF田中琢人が攻撃のアクセントとなって自由自在に操る。CBコンビを組む加納直樹と保野友裕は180センチ超えのセンターバックで空中戦と対人プレーは引けを取らない印象を持つ。 夏のインターハイでは優勝候補に挙げられたが想定外の初戦敗退。監督の清水恭孝は今シーズン限りで退任することが決まっており、花道を飾るためにも選手権に賭ける意識は高い。先述した都道府県リーグ所属の中で最も飛躍が期待できるチームだ。
 しかし、國學院久我山以外にもダークホースは多数存在する。“期待の世代”が最高学年となって初優勝を狙う帝京長岡や全国大会は初ながら古橋亨梧(ヴィッセル神戸)を代表例に近年Jリーガーを多数輩出している興國、関東の中でも屈指の強豪になってきた昌平、夏のインターハイでベスト4入りし2年ぶりに出場する京都橘が筆頭格だ。

準決勝、決勝の埼スタは何かが必ず起きる!

 旧国立競技場が改修工事に伴い5年前から準決勝と決勝は埼玉スタジアムで行われ毎度多くの名勝負が生まれてきた。星稜高校の初優勝から始まり東福岡高校の夏冬2連覇、前橋育英の初優勝そして青森山田の二度の優勝と毎年人々に印象強く残るドラマが起きてきた。前回大会で言えば準決勝の尚志対青森山田でFW染野唯月がハットトリックを達成し世間は“染野ハンパない”というフレーズをニワカに誕生させた。
 また前々回大会の決勝、前橋育英対流経大柏にて当時大会最注目FWの飯島陸(現法政大学)を徹底マークする流経大柏のMF三本木達哉(現神奈川大学)が話題になった。挙げた例は一部に過ぎず大会が佳境に入り毎年何かが見た者に印象的な光景を与える。果たして今大会ではどのような光景が埼玉スタジアムに広がるのか、1回戦から追い続け楽しみたい。

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