序盤で勝ち星をとりこぼしたベガルタ仙台だが、その背景には「3バック」でブレイクスルーさせたい指揮官と真価を発揮できない選手たちがいた。特にアウェイでの敗戦が続き、負傷者の発生やMF椎橋慧也にトゥーロン国際大会代表メンバー招集など、全体バランスの補完関係に歪みが生じた。そんな5月末に4バックへモードチェンジするとこれが奏功。6月のリーグ戦では破竹の4連勝を飾って月間全勝を達成すると共に、ホーム6連勝のチーム記録も樹立。今乗りに乗っている「ベガルタ仙台」について、チーム戦術や個人の状況を振り返ると共に、7月の目標や状況なども併せて確認していきたい。
LSB永戸勝也の圧倒的データ集
vs名古屋グランパス(6月初戦)
・フル出場
・タックル全勝
・デュエル7/12(SBで50%オーバーなんて異例)
・クロス+ロングボール1/10(企画し続けたことが大事)
vs松本山雅FC(6月2戦目)
・フル出場
・1アシスト
・ビッグチャンスクリエイト1
・タックル全勝
・クロス6/11(成功率50%オーバー)←?!
・クロス+ロングボール8/21
vsFC東京(6月3戦目)
・フル出場
・デュエル8/12(勝率66.7%)
・キーパス2
・クロス+ロングボール6/17
vs北海道コンサドーレ札幌(6月最終戦)
・フル出場
・1アシスト
・デュエル12/15(勝率75%)
※LSBで15回デュエル自体が相当身体張ってる
・タックル6/9(勝率66.7%)
・キーパス6回←超チャンスメイカー
・クロス4回成功(節別ダントツ数値)
6月月間レビュー
Pick Up Game!(ベガルタ仙台vsFC東京)
MF久保建英(レアル・マドリード)移籍後の東京は、長谷川健太体制下の中期ガンバ・後期ガンバ布陣と同様のスタイルへシフトしており、サイドハーフにハードかつ広範囲な守備を求める傾向がある。下支えされるのは縦関係で柔軟なポジショニングを求められる両サイドバックの肺活量だ。しかし、FC東京のサイドバックはガンバ大阪SB藤春廣輝ほどの走行距離もスプリント数にも満たない。だから序盤からMF関口訓充らはサイドバックとのバトルを仕掛け続けた。スタミナを削ぐアクションを取り続けた。その結果得た後半のシュートチャンスに、複数のフェイントを織り込ませることで予測した未来を勝ち得ることが出来た。
4バック変更後に掴んだ流れ
序盤に得た勝利は下位に低迷していた時期の鳥栖とガンバだったものの、6月は名古屋や東京など、上位陣に対しての勝利である。まず間違いない実力だが、GKシュミット・ダニエル(→シント=トロイデン)が移籍した後の20節以降、現布陣の真価が問われる。
サイドに明確な意図を持つベガルタ仙台
右側の図に関する話は、動画からお聞きいただきたいが、記事では左側に着目しよう。中央4枚はマンマークではなくややゾーン気味にディフェンスを執り行う。CBシマオマテにエース封じを頼みつつ、回収した後で前線へとさばける枚数と役割分担が明確だ。前線が選択肢を絞ることでミドルゾーンの中で2~3択まで絞る。中央突破に課題を残すが、札幌戦でGKシュミット・ダニエルが弾いたように、20節以降を関憲太郎とヤクブスウォビクが対応できるかどうかで仙台の未来が変わる。
攻撃面ではMF道渕諒平とMF吉尾海夏で変わるRMFの注目したい。追いすぎず、持ちすぎず、「止まる」ことを覚えた選手たちから「無駄」が減った。4バックに加え、トゥーロンを経たMF椎橋慧也の成長、システムの変化と戦術力の向上が伴っており、得点を取るための守備、得点を取るための布石づくりと11人が連動して動いていることがわかる。