本コンテンツはYouTubeチャンネル「MILKサッカーアカデミー(通称ミルアカ)」の派生コンテンツである。長尺物は動画にて触れつつ、ショートな戦術改善プランをここでお届けする。今回のテーマは「ジュビロ磐田の森谷賢太郎」を攻撃の軸とすることで磐田のオフェンスにスムーズさが現れることをお伝えしたい。
松本戦のスタメン
GKカミンスキー、DFは右から高橋祥平、大井健太郎、新里亮、RWB小川大貴、LWB松本昌也、ワンアンカーにMF田口泰士が入り、OMF上原力也とOMF森谷賢太郎。前線にはFW中山仁斗とFWアダイウトンが入った。トゥーロン国際大会に出場したCB大南拓磨やFWロドリゲス、MF山田大記らが控えに回った。
前半26分に詰まったジュビロ磐田の解決策
見ていただきたいのは前半26分のシーンだ。磐田のカウンター、松本のネガティブトランジションの構図となっている。RCB高橋祥平が2ライン飛ばしたフィードを最前線まで飛ばすと、FW中山仁斗が収めて右サイドに走り出したFWアダイウトンへパスを供給した。その後のアクションはカット。今回取り上げたいのは、後方からのフィードが入った後、誰がどのようなアクションを取るべきだったのか、だ。
DFベクトルが「見えている」森谷賢太郎
松本はギリギリ右端で画面外へと移動したCB飯田真輝が先読みのディフェンスでポジショニングをとった。しかし、それにつられてRCB今井智基がFW中山仁斗のケアに来ており、右側のレーン2つ分をRWB田中隼磨一人でケアせざるを得なくなった。高橋祥平が放ったコースを考えれば、FW中山仁斗に届くのは間違いない。CB飯田真輝が後方スペースのケアへ走り、中山がRSB今井智基を背中に背負った状態となるため、転倒でもしない限り中山がレシーブできる。既にLCB當間建文の裏へFWアダイウトンが走り込んでいるものの、戻りの時間を考えれば當間・飯田と中山・アダイウトンの2対2の構図が数秒後に待ち受けてしまう。得点へのプロセスにはあと2ポイントが必要だ。
・FW中山仁斗がその場で収めず、今井智基を引き連れてもう数歩侵入
・レシーブ対象となるMF森谷賢太郎に背を向けるRCB今井智基裏にボールを供給
まずはFW中山仁斗が即座にトラップせず、今井がフィジカルコンタクトするスペースまで侵入する。すると、今井のマーク対象がMF森谷賢太郎から中山へシフトする。またポジショニングを確保し、ゴールに背を向けるCB飯田真輝は今井を引き連れて向かってくる中山とフリーランで侵入してくるFWアダイウトンの両方をケアが生じる。中山はボールを胸で収めた後、背中に今井を背負う形となり、中山も今井も松本のゴールに背を向ける。二人に最も近い選手はMF森谷賢太郎だ。RWB田中隼磨は森谷の後ろを走る。中山から森谷の前にボールを供給すると、今井の背後をとることが可能だ。同時にラインブレイクが可能となり、追ってくる田中隼磨以外は無効化。森谷がGKとの1対1を迎える。ここでコントロールショットを放つか、CB飯田真輝が森谷賢太郎についてきた場合には、詰めている逆サイドを走るアダイウトンへパスアウトすれば、流し込むことができる。
キャノン砲FW荒木大吾や前線からの守備に秀でるMF山田大記も重要だが、攻撃力アップが急務のジュビロ磐田は、補強以上に脳内のスケールアップで得点力を向上させられる。
特に、どのポジションでも遜色なくDFの背後を取り続けるFWアダイウトンや、相手にとって嫌なポジショニングを取ることが多いMF森谷賢太郎を活かすことができれば、FW中山仁斗を含めた得点数向上を見込むことはできる。もちろん個人技基調のFWロドリゲスがいることはジュビロ磐田の宝となる。プランB、Cに移行する際、一人で相手の守備陣を破壊できる存在は大きい。ここにタイからFWルキアンが加入する。彼を前線で起用できるならば、FWルキアンとFWアダイウトンで敵陣CBを中央から離し、攻撃的MFの森谷賢太郎や上原力也が入り込むことができれば、これまで少なかった2列目の得点も増えてくるだろう。