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【2019J2&J3】NEXTJ1、来季ステップアップ候補のプレイヤー

【2019J2&J3】NEXTJ1、来季ステップアップ候補のプレイヤー

 プロキャリアの浅い段階をJ1ではなく、J2・J3で過ごす選択をとる若手が現れた場合、「終わったか…」「J1でのスタメン争いに勝つことはできなかったか…」と考えてしまう人がいる。しかしその考えは最早過去のものと捉えてみてもいいかもしれない。やはり若い年代では「いかに実践機会を得られるか」に尽きるようだ。
 近年ではFW古橋亨梧(現・ヴィッセル神戸)が大木武(元・FC岐阜監督)のスタイルに見込まれて岐阜に加入し、結果を残して上位チームからのスカウトを得た。また東京ヴェルディ在籍時、ミゲル・アンヘル・ロティーナ(現・セレッソ大阪)の下で『活きた戦術』を学んだDF畠中槙之輔は横浜F・マリノスへ移籍し、現在はJ1首位チームを支える原動力となっている。現在J1でプレーする選手のスタートがJ2やJ3となった選手のステップアップや活躍の事例は増えつつある。今シーズンも多くのルーキー選手が輝いたJ2・J3でとりわけ印象に残った選手を紹介したい。

Written by Y.K
Edited by 佐藤祐一/ノーミルク佐藤

【MF坂元達裕/モンテディオ山形】全試合に出場、PO進出に貢献したチャンスメーカー

 J2大卒ルーキー組で最上位クラスの貢献度を残した。MF井出遥也、MF南秀仁、FW大槻周平とシャドーのポジション争いを早々に制し、攻撃の要となった。右サイド、特にペナルティボックス脇の位置でプレーすることを得意とし、独特なドリブルスタイルを有し、持ち込みやカットインからシュートするプレーなど連続性のあるプレーに長けた選手だ。また9月のアウェイ柏レイソル戦ではFKを直接決めるなど、セットプレイでも力を発揮した。
 前所属の東洋大学時代も1年次から出場機会を掴み一部昇格やインカレ初出場に貢献。東洋大の攻撃は彼を起点に始まることが多く、同じような光景がJリーグでも見れることに筆者は感慨深さを持った。

【MF山本理仁/東京ヴェルディ】飛び級昇格したパリ五輪世代のゲームメーカー

 ユース年代で傑出した才は、飛び級昇格を果たしトップチームでも躍動した。パリ五輪世代の中心格選手となる可能性は高い。シーズン途中の監督交代でに永井秀樹氏が就任すると、ヴェルディらしいパスや吉武博文(元FC今治、U17日本代表監督)モデルのフリーマン・ワイドアタッカースタイルで崩すサッカーの体現に欠かせないキーマンとして起用された。
 本職はボランチでパスはもちろん展開力のある左利きの大柄プレーヤーだ。だが、定期的に起用されたCBやSBでは良さが損なわれてしまうことも。現状の最適解である中盤底のポジションを確立し、指揮官の志向するサッカーを知る1人として来シーズンは開幕戦からの出場を期待したい。

【MF中山克広/横浜FC】大車輪の活躍でJ1昇格に貢献したドリブラー

 専修大学出身で力強いドリブル突破からゴールに直結するプレーは、4つ上の先輩に当たるWG仲川輝人(横浜F・マリノス)を思わせる。大学サッカーフリークでは知る人ぞ知る選手だったが、目利きのスカウティングによって横浜FCに加入すると、シーズン途中に就任した下平隆宏に見出され、6月中旬以降のV字回復の立役者となってチームに貢献した。
 特別指定選手のMF松尾佑介(仙台大)との両翼は攻撃の生命線になるまでに成長を遂げた。サイドの選手ならではの攻守両面で献身的なハードワークも持ち味だ。チームがJ1昇格したこともあり、王道に近いステップアップを図っている最中。来季のJ1でどれだけ目立った存在になり得るか楽しみだ。

【MF本間至恩/アルビレックス新潟】クラブの未来担うアカデミー卒アタッカー

 ルーキーイヤーの今季、出場時間は短かったがボールを持てば一際心惹かれるようなプレーで我々を魅了したプレイヤーの一人だ。人材豊富な2列目の牙城を崩して出場し続けることは難しい。それでも途中投入からのドリブル突破は新潟の序盤・中盤戦において攻撃のアクセントになっており、相手DF陣の脅威となっていた。活躍が実り、スタメン出場を果たせたのは10月の鹿児島ユナイテッド戦から。以降出場した8試合で2得点の成績は実績となった。既にJ1からも触手は伸びているが何れにせよ来シーズンにつながる一歩となった。伸び代があって、新しい攻撃源として来年の活躍が楽しみなプレーヤーだ。

【CB菊池流帆/レノファ山口】エアバトラー自称ダビド・リューホ

 自らをダビド・リューホと名乗るように、プレースタイルはCBダヴィド・ルイスに似て空中戦では圧倒的な存在感を放ち、J2の守備的デュエルではトップの成績を残した。また、球際の強さも同様でタックル数もJ2トップの成績を残したのが彼であり、青森山田高校や大阪体育大学時代で培ってきたものが今に活きている。相手FWに対峙を拒ませるほどのインパクトを醸し出していた学生時代。空中戦で勝つたびに威勢の良い声を張り上げていたことを懐かしむ。若手主体のレノファ山口で出場機会を早くから出場機会を得て36試合に先発出場するも、チーム全体が若い故か、リーグ全体で4番目の70失点を喫してしまい、その多くに絡んでしまった。1年目から経験を積み、苦労が多かったであろう今シーズンから来年は主軸として勝たせるCBとしての活躍を期待したい。

【GK吉田舜/ザスパクサツ群馬】新卒ながら全試合フル出場の守護神

 ルーキーGKの全試合出場は本当に稀なケースだ。前橋育英ではインターハイベスト4、選手権準優勝を経験、法政大学では総理大臣杯とインカレで優勝経験を持つ、学生年代の実績では史上最高峰の実績を持つ実力派GKだ。セービングに長けており、DAZN週間ベストセーブにも複数回選出されている。リスタートのパントキックは味方にドンピシャのタイミングで供給する妙技も持っている。経験豊富なCB渡辺広大とCB舩津徹也を後ろから支えるGKは若手主体のチームの中で際立つ存在だ。
 専門職かつ代えがきかないGKは、育成年代で実力があってもプロで早くから出場機会を得るのは極めて難しい。その中でもチーム方針から若手主体になった中で即座にスタメンを勝ち取り、シーズン通して高いクオリティを発揮できたのは素晴らしい活躍ぶりと言えるだろう。

【FW高澤優也/ザスパクサツ群馬】FW江坂任、FW瀬川祐輔の後継型万能ストライカー

 FWに必要な資質を多く兼ね備える万能型ストライカー。ポストプレー、ゴールへの嗅覚、ヘディングの強さ、前線からの守備など、相手チームを脅威に落としれた存在だ。「ハードワーク」のプレースタイルは、出身である流通経済大学付属柏高校や流通経済大学時代に形成されたものだ。
 FW青木翔大やMF加藤潤也と攻撃のトライアングルを形成し、夏以降の連勝街道を牽引した高澤だが、青木含め、10月に負傷離脱してしまう。離脱期間中にチームの勢いが陰ったことからも、いかに不可欠な存在であったかが分かる。復帰後の33節岩手戦では、途中出場で決勝点を決め、2位に返り咲く原動力に。さて最終戦、3年ぶりのJ2復帰へ導けるか。

【FW大谷駿斗/カターレ富山】石川育ちのアジリティーに長けた成長途中のゴールハンター

 出場機会を本格的に得たのは夏の終わり頃。オフザボールの動きからDFの背後を取り、少ないタッチでゴールを仕留めるアタッカーだ。FW登録だが2列目の位置から相手DFの動きを先読みする動きに長けており、相手を惑わすポジショニングからゴールを窺う。ネームバリューで言えば同年代の中では劣るかもしれない。しかし、今季後半の活躍は目立つ存在だったことに間違いない。

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