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2019J1新人王の行方|即戦力ルーキープレイヤーのパフォーマンスチェック

2019J1新人王の行方|即戦力ルーキープレイヤーのパフォーマンスチェック

 翌年に東京五輪を控えた影響か、ここ数年のJリーグは全カテゴリーを通じて若手選手が出場機会を掴む選手が増えてきた。当然DAZNがJリーグの放映権を獲得したことや、J3カテゴリー時代が経験を積んだこと、さらにU23チームの活用法を見出したことなど、理由は多岐にわたる。しかし、1年目からJ1主力にラインナップされること自体容易ではない。多くの選手は学生時代に確固たる実績を残しオファーを受ける。それでもプロの壁にぶつかりながら成長する者もいれば脱落する者もいるシビアな世界だ。今回は2019シーズンに筆者が特に印象に残った新人選手を紹介したい。

Written by Y.K
Edited by 佐藤祐一/ノーミルク佐藤

【CB渡辺剛/FC東京】五輪代表候補まで登り詰めた青赤の次期DFリーダー

 開幕時点ではCB森重真人とCBチャン・ヒョンス(現アル・ヒラル/サウジアラビア)に次ぐ3番手の立ち位置だったが、ルヴァンカップ等で出場経験を積み、早々にリーグのレベルにアジャストすると、徐々に頭角を現して5月頃からはリーグ戦でも出場機会を増やした。夏の市場でCBチャン・ヒョンスの移籍が発表されるも、不安視されることなくスタメンを務めあげて堅守を支えている。
 実際にCBチャン・ヒョンスとCB渡辺剛比較検証しても、1試合平均空中戦勝数が3.15→3.21、1試合平均タックル成功数0.54→0.63などと個のスキルとして遜色ない姿を見せた。空中戦の強さが特徴的で跳躍力はアスリートレベル、そんな持ち味を発揮しFC東京での活躍が認められ10月のU22日本代表ブラジル遠征に選ばれ、U22ブラジル代表戦ではスタメンに名を連ね勝利を上げた。11月のコロンビア戦は辞退するも森保一代表監督の評価は高い。
 今や主力になるまで成長したCB渡辺剛だが、FC東京U15深川時代には3年生で公式戦未出場という大きな挫折を味わった。山梨学院高校、中央大学でプレーを経て8年越しでFC東京に“復帰”。昨年は特別指定選手として名を連ねた。長年ディフェンスリーダーを担ってきたCB森重真人の後継者、さらに来季の東京五輪の主力にまで躍進を遂げることができるか。

【SB小池裕太/鹿島アントラーズ】再起を図る世代屈指の左サイドバック

 大学4年次の2018年夏、ポルティモネンセ(ポルトガル1部)やシント=トロイデン(ベルギー1部)などからオファーを受けて渡欧。夏に卒業を待たずしてシント=トロイデンへ加入するも試合に絡めず、2019年3月特別指定選手経験もあった鹿島アントラーズへレンタル加入した。シーズン当初は出場機会が少なかったものの、夏にSB安西幸輝がポルティモネンセへ移籍したことに伴い、ポジションに就いた。
 挨拶代わりのホーム、ジュビロ磐田戦のロングシュートは圧巻だった。前半40分、左サイドを駆け上がった後に放ったクロスボール風のシュート(シュート風のクロスボールとも言える)がそのままネットを突き刺し、このシーンはまたたく間に世界にまで拡散された。攻撃面に秀でており、チャンスと見ればレフトサイドレーンからチャンスに加わって高精度なキックからチャンスメイクを見せる。また、セットプレーのキッカーとしても有用なプレーヤーだ。欧州移籍の登竜門として1つのブランドを築いた鹿島においてこのスキルを磨くことができれば、再び欧州への門戸が開かれるチャンスもあるだろう。また、日本代表においても、長友佑都以降なかなか台頭しなかった左サイドバック問題解消を可能にするポテンシャルを秘めている。

【MF鈴木冬一/湘南ベルマーレ】 希少ルートでプロ入りした二度の世界大会経験ドリブラー

 2012年ダノンネーションズカップを制したセレッソ大阪U-12出身のであり、00世代の中心格としてアンダー世代を過ごしてきた。2017U17W杯を経験し、史上最強クラスの世代別代表、vsイングランド戦を経て思考に変化が訪れる。半年後彼は、高校3年次にセレッソ大阪U18から長崎総合科学大学附属高校に移籍した。それまでの自身の経験と異なるプロセスを蓄えることでさらなる進化を遂げ、進路先を湘南ベルマーレに一本化した。
 ウィングバックと1.5列目でプレーすることを得意とするが、U17W杯等の代表ではサイドバックの経験も持つ。攻守のハードワークを欠かさず、球際の強さやデュエルを仕掛ける姿勢は本人の経験から来る成長の足跡か。セレッソ産の確かな技術とミックスさせることができれば、ハイブリッドな新スタイルを構築することができそうだ。湘南では両サイド兼用で起用されていてWB杉岡大暉やDF岡本拓也、SB古林将太らと激しいポジション争いをしながら成長曲線を描いている。
 11月に行われたU22コロンビア戦の代表追加メンバー招集も受けており、今後の活躍次第では東京五輪メンバーも見えてくるだろう。

【MF西澤健太/清水エスパルス】クラブ史上初!大学経由で帰還したNext10番候補生

 エスパルスユースから大学経由で戻ってくる事例はクラブ初で、サポーターの期待度は高かったに違いない。その期待を裏切ることなく下位に低迷するチームの主軸に成長した。6月のホーム横浜FM戦では、途中出場ながらチーム最多のシュート数で終了間際に初ゴールを挙げて勝利に導くと、以降はFW北川航也の海外移籍もあり、スタメンで起用されるようになった。筑波大時代に磨き上げたキック精度は高品質でセットプレーを任される所以と言える。左サイドが主な起用方法で2列目ならどこでも出来るチャンスメーカーだ。SB松原后との左サイドラインはチームのストロングポイントで攻撃の起点になった。
 しかし、33節を終了しても残留を確定できず、チームとしての結果が奮わなかったシーズンに。来季は上位進出を目指すにあたって中盤とFWを繋ぐ橋渡し役として期待したい。

【DF高尾瑠/ガンバ大阪】デビュー戦は大阪ダービー 台頭も苦しい1年を経験

 関西学院大時代に1年次からスタメン出場を続け、数多くのタイトル獲得に貢献したことで早くから注目される選手だった。関西を代表するサイドバックに成長し、中澤聡太氏(元スカウティング担当)のお墨付きで加入した。入団当初の同ポジションにはSBオ・ジェソク(FC東京)やSB米倉恒貴(ジェフユナイテッド千葉)がレギュラー争いをしており、開幕当初はJ3が主戦場だった。
 しかし、トップチームの不振から戦術変更と世代交代促進の一員として5月のセレッソ大阪戦でトデビューをはたすと3バックの一角として抜擢された。後ろから組み立てるガンバ大阪の戦術において、ビルドアップが上手い高尾の存在は待望だった。だが、不慣れポジションワークに葛藤して終盤になるにつれて徐々にプレーに迷いが生まれ、失点に絡むことが増え始めた。また空中戦の弱さを露呈、スタミナ不足から対峙するアタッカーに得点を献上するなど、かなり難しい1年を過ごした。プレーに自信を持ち、90分走りきれるようになればサポーターの見方も変わってくるだろう。

【CB荒木隼人/サンフレッチェ広島】GK大迫敬介、MF川辺駿らと共にアカデミー出身の象徴へ

 シーズン序盤はACLが主戦場で、アジアの屈強なアタッカーを相手にしてプロとしてのスピード感を掴むと、瞬く間にリーグ戦でもスタメンを張るようになった。今年の広島は昨季を支えたベテラン選手たちが相次いで負傷・離脱していたことから、若手の台頭が必須だった。GK大迫敬介やMF森島司らと共に抜擢された荒木は11月に行われたベネズエラ戦の日本代表メンバーにも名を連ねるほどに成長を遂げた。 堅守が売りの城福サッカーで1年目からCBの真ん中を任され、大崩れすることはなかった。無失点試合の数を見ても13試合(33節終了時点)で荒木自身も高い貢献度を示した。代表定着・スタメンのハードルは高いが、本人の成長には良い刺激になっただろう。

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