4冠の可能性を残しながら、続出する負傷者や主力メンバーのスタミナロスも伴い、最終的に無冠となった。常勝鹿島が迎えた転換期、鈴木満フットボールダイレクターは主導権を握るサッカーを追い求め、それに値する監督としてRBブラガンチーノ(ブラジル1部)からザーゴを招聘した。レッドブルグループ出身さながらのアグレッシブで縦に速いサッカーを志向し各セクションで明確な戦術が期待される。即戦力から高卒まで長期的な視座に立ったメンバーでタイトル獲得を目指す
書き手:Y.K 編集:佐藤祐一
GK・DF
J1で実績豊富なCB奈良竜樹、SB永戸勝也、DF杉岡大暉、SB広瀬陸斗を獲得し、手薄なDFラインの質量向上に成功した。実績十分のベテランSB内田篤人とSB山本脩斗を除き、陣容の年齢が20代半ばに集中することから、世代交代と共に、バージョンアップが見込める。特に、伝統の「背番号3」を託された奈良竜樹に対する期待度は高い。DF陣全体的に身長は180cmだが、昨季在籍したCBチョン・スンヒョンのような大柄DFが少ない点を突かれる可能性が残るのは懸念点か。
MF
ボランチの枚数と選手層の厚さは十分でリーグ屈指の陣容だ。一方、2列目の陣容は少し変わる。攻撃の要だったMFセルジーニョの後釜としてMF和泉竜司やMFファン・アラーノを補強した。和泉はポリバレント性があり、移籍元である名古屋ではGKを除く全ポジションを経験した万能タイプだ。高校サッカー選手権優勝の実績を引っ提げて加入したMF松村優太は、個で切り崩すタイプのドリブラーだ。MF白崎凌兵やMF遠藤康を例にゲームメーカーが多い2列目の中で、ジョーカー的活躍が出来れば、1年目からチャンスを掴めるかもしれない。中盤のそこからシャドーまでこなすMF荒木遼太郎然り、若手の台頭が強い鹿島復活の一歩に近づく可能性を秘めている。
FW
今年も2トップはチャンスメーカーとフィニッシャーの構成か。1.5列目の役割でMF土居聖真が番手のトップに立つ。フィニッシャーの筆頭はFW伊藤翔と新加入のFWエヴェラウドか。優勝を狙うチームのFWとして二桁得点はマストに近い。 FW上田綺世は、法政大と鹿島アントラーズ、U22日本代表やA代表と、忙しない1年を過ごした。先にプロ入りしたが、大学4年生。それでも、「常勝鹿島」のFWとして君臨するためには、これらのプレッシャーに打ち克つ必要がある。上田同様、現在負傷離脱中のFW染野唯月ら若手FW陣の得点力アップは攻撃陣のカギとなる。