ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が指揮を執った昨シーズンは、リーグ最少失点を築いて5位と躍進した。組織的なサッカーに変貌を遂げ、終盤戦にはACL出場圏内まであと一歩と迫った。今季はその最少失点守備ベースを維持し得点力アップを図る。そのため、各ポジションに実力者を補強したが、興味深いことに獲得した選手の年齢から世代交代を意図的に進める様子がうかがえる。主力選手の高齢化が進み、年齢層の空洞化が顕著だった近年の傾向から脱するべく数年後を見据え施行する。実際今季の陣容を見れば、人材は揃っていることがわかる。昨年のU-23チームの躍進もあって着実にSAKURA NEXT及びハナサカクラブは、桜満開真近かもしれない。
書き手:Y.K 編集:佐藤祐一
GK・DF
レンタル移籍で期限付き移籍から復帰した永石拓海(レノファ山口)とアン・ジュンス(鹿児島ユナイテッドFC)やセレッソ大阪U-23で昨年22試合に出場しU-20W杯に選出された茂木秀による3人の2nd GK争いは横一線。キムジンヒョンの後釜になり得る近道は戦術に応じた選手か。
FC東京へ移籍の可能性があった木本恭生が残留し、昨シーズンのベースは維持された。丸橋祐介と競うような台頭に欠けた左サイドバックに鹿島から小池裕太を獲得。丸橋と同様にクロス精度やセットプレーで魅せるキック精度は高くハイレベルな争いが期待できる。大分トリニータやツエーゲン金沢で武者修行を積んだ庄司朋乃也や19歳ながら貫禄のあるプレーを魅せるU-20W杯メンバーの瀬古歩夢らアカデミー育ちの選手が頭角を表せていることは将来の心配が比較的少ない印象だ。ルヴァン杯を含めレベルの高い試合を経験して戦力アップに貢献したい。
MF
近年のクラブの躍進を支えたソウザと水沼宏太が移籍し転換期を迎えた中盤の陣容。藤田直之と奥埜博亮が君臨するボランチにシャペコエンセ(ブラジル1部)から左利きのルーカス・ミネイロを獲得する報道が出ている。バックアッパーにはアビスパ福岡から復帰したU-20W杯メンバーの喜田陽が控えている。
水沼宏太が抜けた右サイドにはモンテディオ山形から坂元達裕を即戦力として獲得。大卒ルーキーながら主力として攻撃の一役を担った実績は申し分無くチャンスメーカーとして持ち味を発揮したい。加えて既にトップチームデビュー済みの西川潤を揃えた。彼ら3人は共通して左利きの特性から戦術的な意図を感じる強化方針だ。キャプテンマークを託された清武弘嗣、腰椎椎間板ヘルニアから復帰した高木俊幸、後述する柿谷曜一朗や豊川雄太など人材豊富で戦力層の厚さを感じる。
FW
ブルーノメンデスの残留、都倉賢の復調と明るいニュースが多い。クラブの象徴、柿谷曜一朗を含め10得点以上を2人達成出来れば優勝も夢では無くなるだろう。得点力アップの強化策としてオイペン(ベルギー1部)から豊川雄太を獲得。ベルギーリーグではCFとして奮闘し印象深い17−18シーズンの最終節で途中出場からハットトリックを達成し奇跡の1部残留を果たした立役者だ。2シーズンぶりのJ1で花咲かせることは出来るのか。