前体制の頃は選手の出入りが激しいシーズンオフを繰り返していたが、今冬は堅実性のある強化を進めた。近年クラブの中枢を担っていた和泉竜司が鹿島アントラーズに移籍したものの、中盤の補強はフィッカデンティ監督のサッカーを色濃くする選手が加入した。スタメンとベンチ組の空洞化が否めなかった近年、若手の選手を中心に台頭が期待され総合力の高いチームになり得るポテンシャルは高い。理想を追い求めたサッカーは志半ばで途絶えたものの、堅守を軸に前線の個性ある選手を活かしたショートカウンターで上位進出を目指す。
書き手:Y.K 編集:佐藤祐一
GK・DF
昨シーズンのベースは変わらず今シーズンに臨む。フィッカデンティ体制を経験者の太田宏介と吉田豊がポジション争いをするのは魅力的かつ熾烈だ(※編集注:太田宏介は負傷のため、復帰はGW明け)。実績豊富な選手が揃う中で昨シーズン夏場に出場機会を得て存在感を示した藤井陽也や、開幕スタメンを勝ち取りそうな右サイドバックの成瀬竣平と若手選手の成長スピードは加速している。主力選手に怪我が相次ぐ中で出場機会を得ることができれば一昨年の菅原由勢のようにスターダムに登り詰められる可能性もある。
MF
米本拓司と同等タイプの稲垣祥を獲得。ボランチに求められていることが明白な印象を持つ。2列目ではマテウスと相馬勇紀が期限付き移籍から復帰し、前田直輝を含めサイドアタッカーは共通して個で打開できる選手が揃っていて得点力向上もうかがえる。またガンバ大阪や川崎フロンターレで国内タイトルを総なめにしてきた阿部浩之が加入した。阿部浩之はチャンスメイクだけで無く正確なミドルシュートや高いスプリント能力を持つ。同ポジションのガブリエル・シャビエルとはタイプが異なるが兼ね備えている勝者のメンタリティを発揮できるか。
FW
ジョーが膝を痛め2度行われたキャンプを欠席し不安な状態に。今現在は母国のブラジルで治療中だ。ポストプレーと献身性に長ける山崎凌吾を獲得したが、絶対的な枚数不足は否めない。キャンプ期間は、その山崎凌吾も負傷し、攻撃の起点作りに苦労している模様。3月末まで開いている登録ウィンドーまでに新たな補強があるかもしれない。